ライト

予言


 一. 奇跡の人、エドガー

 エドガー・ケーシーは、1877年3月にアメリカのケンタッキー州に生まれ、1945年1月に亡くなった方ですが、その間の彼の人生は奇跡に満ちたものでした。
 彼の少年時代は農場で生活していましたが、彼には他の人々には見えない者が見えたのです。それは、妖精であったり、子供の格好をした遊び友達であったりしました。
 彼が一人寂しくしていると、彼らは決まってどこからともなく現れて一緒に遊んでくれたり、話し相手になってくれたりしたものでした。もちろん、他の人々には彼らの姿は見えませんでしたからあたかもエドガーが独り言を言って遊んでいるように見えたのです。
 十歳の頃にはエドガーは初めて連れられて行った教会の説教師の読み上げる聖書の物語に深い関心を示し、それから聖書を夢中で読みふけるようになりました。そして、聖書を読んだ回数が自分の年と同じになるまで出来るだけ速く読み、呼んだ回数が自分の年に追いついたら、後は1年に1度読んで毎年1回ずつ読み直すということを始めました。
 そして、13歳になる年の春には聖書を既に12回読んでいたのです。この頃、彼の人生に大きな転機となる出来事が起こりました。
 それは、3月のある午後のことでした。彼がその頃よく好んで出入りしていた彼の秘密の隠れ家でいつものように聖書を読んでいると、ふと誰か人の気配を感じ目を上げるとそこに一人の女性が立っていたのです。そして、彼女はこう言いました。「あなたの祈りは聞き届けられました。あなたの一番の望みを言ってご覧なさい。私が叶えてあげましょう。」よく見ると、彼女の背中には大きな翼が付いています。天使が降りてきたのです。
 彼が口を開くと、次のような言葉が口をついて出てきました。「僕の一番の望みは他の人たちを助けるような人になることです。特に病気に苦しむ子供を助ける人になることです。」そして、ふと気が付くともうその女性の姿は消えていたのです。
 この事件を契機として、彼には不思議な能力が授かることになるのです。それは本を頭の下に置いて眠ると、何故かその本の内容がすべて暗唱できるようになると言うものでした。それはあのときの天使が助けてくれたものでした。先生が質問をすると、その教科書のページが頭の中に湧いてきて、そこから答えを読むことが出来たのです。
 21歳の頃には、エドガーはガートルードという娘とも婚約し、平日は本屋の店員として働き、日曜には教会で聖書を教えていました。ところが、ひどい頭痛に見舞われることが続き、ある日病院で鎮痛剤をもらいそれを飲んだのです。ところが、その鎮痛剤が強すぎエドガーは意識もうろうとしてさまよっていたようです。そして、寒い日にコートの前を開け、帽子もかぶらずに通りを歩き回っていたために喉を痛め、声が枯れて囁くような声しか出なくなってしまっていました。
 エドガーの声は月日が経ってもいっこうに良くならず、とうとう数ヶ月が経過してしまいましたが、彼は写真家の写真見習いとしての仕事を見つけることが出来ました。
 さて、彼の声はいっこうによくなる見込みがなかったので、とうとうその当時流行っていた催眠術を試してみようと言うことになりました。催眠術をかけてみると、催眠中は正常な声で話すのに催眠から醒めるとしわがれ声に戻るのでした。
 そこでいろいろ試したあげく、催眠術師が患者に自分自身の症状を話すように暗示を与えてみたのです。すると、彼は「この肉体は神経が圧迫されることで引き起こされる声帯の下部筋肉の部分的な麻痺のために話すことが出来ないのである。これは心理的状態が肉体に影響しているのである。この症状はこの無意識の状態にある間に、暗示によって患部への血液循環を増大させることで取り去ることが出来る。」と語ったのです。そして、そのとうりにしてみると、見事にエドガーの声は戻ったのでした。
 そして、その次に自分に対してこういうことが出来るのなら他人に対しても出来るはずだという話になり実験してみることになったのです。それで翌日、実験してみると催眠状態にあるエドガーに対しある人物を診るように言うと、彼はその人物の体を隅から隅まで診て完璧な診断をし、薬とか、食事とか、一連の運動について指示を与えたのです。
 そして、その指示に従い治療を初めて3週間もすると、患者の体調はめきめきと良くなってしまいました。こうして、彼の透視、リーディングによる診断が始まったのです。
 それ以来、彼が診た患者の数は数知れません。また、リーデイングの件数は1万数千件にものぼっています。その内容は単なる病気の診断に限らず、他にも多くの予言がなされており、それらはすべての分野に及んでいて、国際関係、科学、社会の状態、人類の精神的成長、各人の心の内面的能力の開発の方法などを含んだ幅広いものでした。
 さらに、彼の予言は生存中に経済大恐慌を予言し、その理由と終わる時期を指摘しており、またアメリカが正しく行動しない限り第二次世界大戦に巻き込まれることも警告していました。
 しかし、幸か不幸かエドガーは彼自身が覚醒している間にはこうした能力を十分に発揮することは出来なかったために、いつも彼自身は不安で一杯だったのです。それは自分のなす予言や診断が果たして正しいものであるのか、またその指示に従った人が悪化したりしないだろうかという不安であったのです。なぜなら、こうしたリーディングは彼が催眠状態にあるときになされたものであり、彼自身は目覚めて、その内容の記録を見て初めて中身を知ったからなのです。自分が意識がないときに語った言葉に責任を持ちかねたのです。
 そして彼自身は昼間は写真家として生計を立て、日曜日には教会の先生をつとめ、敬虔なクリスチャンとして誠実に生きていたのです。彼は自分のなしたリーディングに対していっさい報酬を受け取ろうとはしませんでした。彼は生活費は自分自身で働いて稼ぐべきであると信じていましたし、また死ぬまでそれを実行しました。また、困っている人のためならいつでも体の続く限り、リーディングに応じてくれたのです。
 こうしたリーディングの資料は現在でもA・R・Eという研究団体で大切に管理、保管されています。


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