アクエリアスの時代を切り開こう

 1節 このままで行けば人類は滅びる

 新約聖書にヨハネの黙示録という部分があります。このヨハネはキリストの十二弟子の一人のヨハネではありません。別人ですが、彼が書いたこの黙示録はもう二千年近く前に書かれたものですが今だに多くの人々に読まれ、研究されています。なぜなら、この内容は非情に恐ろしく、悲惨な事柄が起こると書かれているのですが、どうもそれがこの二十世紀末の事らしいのです。

 このため、世界中に多くの人達が興味を持って研究しているのですが、何分にも表現が抽象的で理解に苦しむ所も少なくありませんから、完全に解読するのは不可能に近いように思われます。
 同様に、ノストラダムスという予言者がいます。そして、彼の書いた「センチュリーズ」という予言詩はその後の五百年の歴史を実に良く言い表しており、その予言の正確さが話題になっています。このノストラダムスの予言の研究者も世界に数多くいます。

 このノストラダムスの予言は四行の詩に書かれており、その内容は今までの世界の歴史を言い当てている部分がかなりあるのですが、何分にも表現が象徴的でそれを起こる前に完全に理解する事はかなり困難です。
 こうした予言者たちに共通している事は、一様に現在の、この二十世紀末の危機が叫ばれているようだという事です。それは、ノストラダムスの他に類を見ない「1999年7の月、天から恐怖の大王が降ってくる。」という予言からもはっきりしています。明らかに彼らはこの世紀末を中心とした危機を予言しているのです。

 そして、ヨハネの黙示録もこの頃の出来事と解釈すればその恐ろしげな内容の多くがまだ起きていない事である事がわかります。
 話は少し変わりますが、北欧にスウェーデンボルグという方がいました。いまから二百年ほど前の事です。この方は科学者として活躍した後、心霊者となり「天界と地獄」、「天界の秘儀」などを著して、いわゆるあの世の世界の探検記を世に問いました。この霊界探訪記は大変な反響があり、彼自身もやがて国外に逃亡せざるを得なくなるのですが、少なくとも当時の人々にとっては到底、信じられない内容であった事は事実です。

 しかし、この霊界探検の本が現在も絶えず読み継がれ、再出版されているという事はやはり、何かしら虚言として片づけられないものを人々が感じているからでしょう。
 要するに、彼、スウェーデンボルグは幽体離脱ができたのです。幽体離脱とは、意識が肉体を離れる事です。これは、普通は死を意味するのですが、これ以外にも一時的には有り得ます。たとえば、睡眠の時、深い睡眠状態に陥ったとき意識が肉体を離れ霊界、異次元空間に漂う場合があります。これ以外に霊能者とも呼ばれる特殊な人達の中には幽体離脱と言って、覚醒状態のままでもその意識を肉体から遊離させ、霊界に踏み込む事ができる人がいます。

 彼もこの幽体離脱によって、様々な霊界の様相を見聞きし、その内容を忠実に書き留めたのです。このために、普通では考えられないような霊界の内容を克明に記録した書物が書けたわけです。
 黙示録のヨハネも実は同じであったのです。彼も幽体離脱によって霊界の事柄を見てきているのです。そして、彼の場合は神智学でアーカーシャーの記録と呼ばれる霊界でも最高の秘密の記録を見てきたのです。

 このアーカーシャーの記録とは、この世で言う書物のような物ではありません。生命の誕生以前の地球の過去から未来まで記されているようです。ただ、文字で書かれるわけでも絵で描かれるわけでもなく、何と表現したら良いのか困るのですが、一種の磁気の記録のように、たとえばカセットテープなどに記録しますね。あのテープの表面に無数の磁性体が塗られていて、そこへ音楽や音声などの信号を電流に変換した後、その磁気の変化を磁性体に記録しているわけですが、これと良く似た原理だと思うのですが、アーカーシャーの記録という特殊な空間に地球の全てが記録されていて、望めばその部分を見る事ができるのです。

 ところが、これがまた非情に表現するのが難しいのですが、この見せられる内容というのが映像のようなはっきりとしたビジョンではなく、もやもやとした概念のような抽象的なインスピレーションのようなものを与えられて、それを各人が感じとるという具合なのです。
 このために、感じとる予言者の感覚により相違が出ます。また、ヨハネは二千年近くも前に生きた人でしたから、どうしてもその時代の感覚でしか受け取る事ができない面もありました。それゆえに、現代の私達が読んでも何を言っているのかわからなかったり、また夢のような話のように感じるのです。当時は、車も戦車も核爆弾も、ミサイルも当然ない時代であり、人々は自分の足で歩き、限られた道具以外の機械などまったく無い時代であったのです。

 その環境の中に生きている人間が急に現在のような文明社会の兵器や重機械などを見せられても、それを理解する事は無理であったろうと思われるわけです。
 ですから、黙示録の解釈をあれこれと考え込んでいる研究家も多いのですが、要は全体のムード、雰囲気を感じるしかないと思います。細かな一字一句を捉えて色々な解釈をしてみても意味がないわけです。要は大昔の人間が見た光景を当時の人の言葉で推測するしかないのです。

 そういうつもりで読むと、これから七つの封印が解かれていって地上に色々な災いが降り懸かる事、そして、人々を残酷非道に扱う悪魔のような人々が現れてきて世は混沌とする事、しかし最後には悪魔は封印されて千年王国が築かれる事などが読み取れるだろうと思います。ノストラダムスが予言詩で語っている事も類似の出来事であると思います。

 要するに、こうした予言者たちはこれから先に激動の時代が訪れるということを予言しているわけです。何故か、それは現代の私達に警告を発するためです。数千年、数百年も前に現代の私達への警告を発しているのです。なぜなら、同時期に予言してもその予言は現在でもいくらでもいる予想家の予想と少しも変わらないからです。玉石混交の時代ですから、真実の予言が出ていても気づかない人が多いのです。
 ところが、数百年、数千年も前に出して置きますと、その後の歴史によりその予言が篩いに掛けられます。残った予言はそれなりの重みを持ったものとなるわけですね。このために、ずっと以前から現代の危機が意図的に予言されているのです。

 さて、現在を振り返って世界を眺めてみますと、もう既にあちこちで天変地異が頻発しているのは事実です。毎年、毎年、世界のあちこちで地震や津波、火山の爆発などにより多くの被害が出ていますし、数え切れないほどの犠牲者も出ています。
 また、政治情勢においてもルワンダの難民やアパルトヘイト政策などあちこちで不穏な動きがあり、多くの人々が悲惨な目にあっているのも事実です。しかし、その一方でデタントの動きがあり、何人ものノーベル平和賞に輝く政治家が出ているように長らく国交のなかった国同士が急に平和条約を結んだり、協定を結んだりしているのも、また事実です。

 こうした情勢を見ると、現在の私達にはこれから世界がどちらの方へ流れていくのか、どのような未来がくるのかはっきりとしないのが現実です。ある者は楽観し、ある者は悲観しているのが現状でしょう。
 ところが、ヨハネの黙示録やノストラダムスの予言が何故なさたのかと考えてみると、それは現代の私達へ未来を教え、少しでも良い方向へ進めるられるように対処策を講じよという事だと思うのです。そうであれば、外れてくれれば良いのですが、このままで行けば破滅するような情勢を一端は受け入れるべきであると思います。

 そして、大切な事はそのような悲劇的な状況をいったいどのようにすれば乗り切って行けるのかを考えるという事なのです。知恵を絞って乗り越えていく方法を検討する事です。過去の偉大な予言者たちは、それを私達に期待して予言を残してきたのです。

 現実に人類が滅びるきっかけなどいくらでもあります。フロンによるオゾン層の破壊もそうですし、世界を何度となく破壊する事が出きるほどの核爆弾もそうでしょうし、2000年頃に衝突すると言われている小惑星もそうですし、自然のバランスが崩れてきており、世界のあちこちで干ばつや洪水の大災害や地震、火山噴火などの天変地異が頻発しているのもそうでしょうし、エイズなどの特効薬の無い流行性の病気が広がってきている事もそうでしょう。

 まさにパンドラの箱を開けたかのように色々な厄災が出てきています。これらが今後どのように展開されるのかはわかりません。また、私達人類がどのような態度を現していくかもわかりません。しかし、彼らが予言したように運ぶ基盤はすべて既に整っています。材料は既に与えられています。破滅への道のりを転がり落ちる事はたやすい事です。

 しかし、そうした中で私達は最悪の未来を予期しつつ、それを最小限度にとどめ、幸せな未来を開くために最大限の努力をしなければなりません。そのために、こうした真理が説かれている事を良く理解して欲しいと思います。誰も苦しい目に会いたいと望んでいる人はいません。全ての人ができれば幸せになりたいと望んでいるのです。アクエリアスの時代が来て、人々が幸福に暮らせる事はすべての人々にとって喜ばしい事なのです。誰も邪魔する必要などないのです。ならば、アクエリアスの時代を開くべきです。人々が皆幸福に暮らせる至福の時代を。
 次節からは、アクエリアスの時代をもたらすために奇跡のシナリオを開く鍵について検討してみましょう。