自殺者を減らすために

(大和武史の幸福論NO.80より)

    自殺について考えてみましょう。
    年間3万人なんて多すぎますね。
    これほどに自殺が多い原因は何でしょうか。

    それには、家庭内での葛藤、学校でのいじめ、
    あるいは、会社の経営の悪化、借金苦からの逃避など
    いろいろな原因があると思います。

    そしてこれらの原因を取り去ることが根本的な解決方法だとは思います。
    しかし、こうした原因は個人的なものがほとんどであり、
    誰かが代わって肩代わりできる、あるいはしてくれる人がいるという

    そういう場合は希有であると思います。
    ほとんどが自分で解決するしかない状況であり、
    また、そうであるからこそ、自殺へ追い込まれるのだと思います。

    ならば、直接の解決にはならなくても、
    誰か、親身になって相談に乗ってくれる人がまず必要です。
    そうでなければ、一人ですべてを抱え込み、

    自殺する可能性はより高くなりますから。
    結果的に自殺した人の数が3万人であり、
    自殺までいかないけれど、

    潜在的な可能性のある人々は数倍に上ると思います。
    こうした人たちを放っておいてよいのでしょうか。
    やはり社会的に対策が必要だと思います。

    本当に自殺者を救うという意志を持った相談所が必要です。
    それも、できれば無料で。
    誰でも気軽に相談できるようなところが。

    そして、そこで解決のための方法を提案することに加えて、
    心のケア、カウンセリングを行うべきです。
    ここへ来る頃にはかなり追い込まれた状況に陥っていることが

    予想されるので、カウンセリングで心理状況を把握し、
    自殺の可能性が高いとわかれば、
    入院のような心の治療が必要だと思います。

    通常じゃない心理状態のまま、帰すのは間違いですね。
    単なる心がけ程度では自殺は防ぐことは無理です。
    思い詰めた人には懇切丁寧な対応が必要です。

    根気を持って、心の負担を軽くしてあげること、
    これがまず絶対に必要なことですね。
    本人がその問題に対して、冷静に対処できるようになれば、

    半分、成功したも同じです。
    本人だけの狭い視野では不可能に思える問題も、
    経験豊富な専門家のアドバイスで切り抜ける道が見える場合もあります。

    でも、その前にその問題から逃げずに、
    取り組んでみようという意志を起こさせることが肝要です。
    それには、他人事ではなく、

    自分の身内のことのように感じなければなりません。
    今の相談機関では、これがないと言わざるを得ません。
    いい加減な相談に対する回答は逆効果です。

    こうした取り組みを国家予算を投入して行うべきです。
    今日の自殺者のニュースは、明日の自分の姿かもしれないのです。
    決して他人事ではないのです。

    いつ自分にも同様の問題が降りかかるかしれないし、
    その可能性も多分にあるといわざるを得ないのです。
    自殺者は決して人生の脱落者ではありません。

    冷たい社会の犠牲者なのです。
    交通事故の倍もの死者を出している、今、
    交通事故の取り締まりにかけている以上の予算を自殺防止に充てるのは

    何の不思議もないことです。
    当たり前のことでもあります。
    特別会計でも何でもよいですから、

    国が予算を支出して、
    国民の悩みを軽減するための施設を作り、
    そこへ心と経験ある人々がカウンセラーとして勤めること、

    それが現時点においてもっとも望ましい方策であると
    私は思います。
    社会への提案になってしまいました。

    私自身としては、今まで通り、
    心の教えを説くしかないので、
    リラックスできるようなお話を引き続き掲載したいと思います。

    本当に日本から自殺者が大幅に減ることを願っています。
    私もできることはやります。
    皆さんも常々、困っている人が身近にいれば、

    親身になって相談に乗ってあげてください。
    よろしくお願いします。

(2006.4.9)

 TOPへ