大和武史の理想社会への提言





 
 
    3.報道の自由とマスコミの暴力について
 

3.提言3:報道の自由とマスコミの暴力について

 今、世界で一番力を持っている者は誰だと思いますか。
それは、ある意味ではマスコミだと言えるでしょう。

 「ペンは剣よりも強し。」という諺もありますが、マスコミは世論を形成する力があります。
そして、この世論の力こそ内閣を退陣に追い込み、総理大臣を辞職させるだけの影響力を持ちます。

 これは、政治への牽制力として働き、無謀な指導者による独裁政治などへの歯止めとなります。
この意味では大変貴重な勢力であり、必要な者でもあるでしょう。

 しかし、最近のマスコミは常軌を逸した報道の仕方をしていると思います。
たとえば、ダイアナさんが亡くなったときのパパラッチや、フォーカスなど興味半分の写真報道などの
実体を見るにつけて、本当に真実を報道するためのマスコミか、金儲けのための創作かわからないといった事態が
起きてきています。

 
一番問題が大きいのは、容疑者の実名報道でしょう。
松本サリン事件の時に最初に疑われた方は、毎日押しかける報道陣のためにろくに外出もできず、
本人はもとより家族も大変な迷惑を受け、この家族の生活は一度に吹き飛んでしまいました。

 しかし、東京でサリン事件が勃発すると、急に彼らは忘れられ、見向きもされなくなりました。
マスコミの過剰な報道により、まるで犯人扱いされ、性格とか、職業、趣味とか少しでも過激なところ、
あるいは暗い面があれば誇張して先を争って報道し、あげくには不正確な情報を確認さえせず報道し、
または、自ら一般に人達にアピールするような事をでっち上げで紙面を飾ったマスコミが、この事件をきっかけに
まったく知らぬ顔に変身したのです。

 アメリカでも同様の事件がありました。
五輪会場での爆弾事件の時です。このとき、アルバイトで警備をしていた男が直前に爆弾を見つけ、
多くの人達を避難させました。おかげで大惨事となるところが、数名の犠牲者で済んだのです。
最初はマスコミは彼を英雄として扱いました。

 大統領さえ、彼に感謝の言葉を発していました。
ところが、FBIが彼を疑いだすと、手のひらを返したように急に犯人扱いをし出したのです。
昨日までの英雄が、急に極悪犯人に仕立てられてしまい、彼らの家族は毎日押し寄せる報道陣のために
買い物も、犬の散歩さえできないような事態に陥ってしまったのです。
そして、1ヶ月近くも前のアパートに陣取り、窓を開けるだけでフラッシュの嵐が起きたそうです。

 このような類似の事態を見るにつけて、マスコミの無責任な報道姿勢が浮き彫りになっていると思います。
例を挙げれば切りがないほど、類似の事件は起きています。よく調べもせずに、噂だけで報道してしまう。
その結果、特定の人を社会復帰できないほどに傷つけ、絶望の底へ突き落とす。

 こんな事態が頻発しています。今のマスコミは他のライバルよりも先を越すこと、
少しでも大衆の興味を引くような見出しに目的があるために、それを書かれた人のことなど考えることも
できなくなっているのです。逮捕もしていない段階での写真入りの報道などがそれを如実に表しています。

 マスコミが世論を動かすことにより、当人には巨大な圧力がかかることを良く理解しなければなりません。
興味本位ででっち上げの記事を報道することは犯罪以外の何者でもありません。

 今、このマスコミの暴力に対して正しい裁きが必要であると思います。
裁きとは裁判ではありません。私たち大衆が彼らを許さないという世論を形成することです。
マスコミに動かされて嘘の世論を形成しているのではなく、自らが正しく判断して間違ったマスコミを、
二度と同じようなことができないように行動するべきです。

 まず、人々が正しい判断能力を養うこと、そして正しい事態を報道するメディアが出現すること。
そして、人々が正しいメディアを指示し、間違ったメディアを駆墜することです。
今のままではだめです。自由と平等の社会を実現するには、正しさが確立されなければなりません。
マスコミの暴力を野放しにせず、真実の目で評価していきましょう。
そうしていけばやがて、素晴らしいメディアが出現してきます。

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