大和武史の理想社会への提言





 
 
   1.日本経済と財政赤字について

  
1.提言1:日本経済と財政赤字について

 10月31日の朝刊に平成10年度の税収見込みが落ち込み、今年度の国と地方の公債発行額が
50兆円程度になる見込みであるとの政府の見解が掲載されていました。

 これで累積赤字はおそらく600兆円程度に膨らむものと思われます。この600兆円という赤字は、
とてつもない数字です。国民総生産が約500兆円ほどですから、日本の1年間の総生産量よりも多いのです。
また、日本の年間の総収入がこの約1/10くらいですから、年収の10倍の借金と言うことになります。

 昨年、橋本政権の元でこの膨大な赤字を何とかしなければならないと財政構造改革が進められました。
そして2000年までに赤字国債をゼロにしようとする法案が可決されたはずです。
それから1年も経っていないのに今年度は公共事業の大幅な補正予算を組みました。
そして、さらに恒久減税をしようとしています。
この結果、冒頭に書いたように50兆円もの赤字国債が必要となる見込みなのです。

 これは決してよそ事ではありません。このような莫大な負債を抱えて、
私たち国民はどうすればよいのでしょうか。こんな多額の借金はそう簡単に返せるはずがないのです。
考えてもみて下さい。年収の10倍もの借金があったら、皆さんならどうしますか。
まず、生活費を切りつめて余ったお金で少しずつ返済しようとしますね。
でも、普通は半分も支出を抑えることはできませんから、せいぜい2〜3割位を返済に充てるのが精一杯でしょう。
でも、そのくらいのお金では利息の支払いにかなりの部分が消えてしまって元金はなかなか減りません。
でも、返さないよりはましです。返さなければ、利息が利息を生んで借金があっという間に膨らんでしまいます。

 個人の生活なら、こんな生活が身を滅ぼすようなものであることは誰でも理解できると思います。
しかし、国家のことになると誰も他人事のように無関心になるのは何故でしょうか。
そして、こんな大変な借金の上にさらに景気を良くするために、公共事業を増やし、
大幅な減税をやれと言ったのは他ならぬ私たち国民なのです。

 もう本当に取り返しがつかないくらいの累積赤字なのです。
こんな借金は私たちの代だけでは返せないかもしれません。
いや、返すどころかますます増やしていってしまうでしょう。
このままでいけば、天文学的な数字の累積赤字が私たちの子供たちに受け継がれることになってしまいます。

 私たちのわがままのために、子供たちに重大な負債を背負わせて良いものでしょうか。
もう、私たちは本当に目覚めなければならないと思います。子孫に負債を残すだけの国家なら、
そんな国家は無い方がましです。私たちはいい加減に目を覚まして、借金を返すために努力しなければなりません。

 政治家たちも、いったんは可決した財政構造改革法案を棚上げにして経済界の圧力に屈してしまったのは
非常に残念でなりません。おそらく、アメリカあたりからもかなり圧力があったのでしょうが、
仮にも国会で議決した法案をまだ舌の根も乾かない内に赤字国債を増発するような政策転換は
ポリシーがないと言わざるを得ません。

 今、本当に「信念の政治家」が必要であると思います。
国民がどんな気まぐれを言っても日本の将来のために信念を貫くという鉄の政治家です。
将来のことなど関係がないと、今景気が良くなって楽な暮らしができるようにしてくれたら
それでいいと言っているような無責任な人の言うことは聞かなくても良いのです。
自分の票が減るからと心配するより、明日の日本を、将来の子供たちのことを考えて政治をして下さい。

 国民が、堪え忍んで生活水準を大幅に下げなければこんな莫大な赤字を返済することはできません。
今、これを成し遂げられる政治家が出てこなければ日本は破滅するでしょう。
自分のことしか考えていない国民に国家のために戦後のような苦労をしてくれと言わなければならないのです。
これができる人がいるでしょうか。

 でも、こんな財政赤字を作ってきたのは、そしてその赤字を累積させてこんな莫大な借金にしてきたのは私たちです。
子供たちに罪はありません。私たちの代で何とかしなければなりません。
数年間、公共事業も福祉も無しでも仕方がありません。子供たちの未来のために、日本の将来のためにやるべきです。

 

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