真理価値の浸透

  真理価値という言葉があります。これは、端的に言えば真実の目で見た価値ということです。つまり、現代は貨幣によって価値が表現されています。そして、その額は希少性や需要と供給のバランスによって決まっています。たとえば、本の値段は材料費や出版社の利益、問屋の利益、小売店の利益、運送費などで決められていますが、その本そのものの価値はあまり反映されていないのです。

  つまり、人々に夢を与え、人生に教訓となるような良本も、逆に性欲をかき立て犯罪へと導くような悪本も同じような値段で売られています。考えてみれば、これは非常に不思議なことです。
 
 やはり、本そのものの価値が反映されて素晴らしい本はプレミアムが付いて、社会を惑わすような本はマイナスの価格になって作っても利益が出ないようになるべきだと思うのです。

  そうすれば、社会にとって、人々にとって良い本が高い価値を持ち、大きな利潤を持ちますから人々はそのような活動をすることに懸命になります。熱心な企業活動の結果、社会には良い本や素晴らしい本が満ち溢れるようになります。これが読者を教化し、社会そのものがだんだん良くなっていきます。このように善の循環が始まります。

  今、本の例で説明しましたが、これは本だけに当てはまることではなく、全てのもの、サービスについて言えることです。全ての事柄に真理価値があります。真実の目で見た価値です。本当の正しさからの値段です。これが現在の需要と供給の価値に加わる必要があります。それによって、間接的に社会全体が真理価値高き方向へと、社会そのものをより良くしていく方向へと誘導されることになります。

  この真理価値の大小の判断の基準は、人々の幸福感にどれだけそのサービスが貢献するかという基準になります。より多くの人々により大きな幸福感を与えるサービスほど真理価値は高いのです。これが本当の価値なのです。そんな需要と供給のバランスで決まるようなものは、真実の価値ではありません。品薄度程度の尺度しか持っていません。

  来るべき新世紀にはこの真理価値が経済の中に反映される必要があると私は考えます。そのためには、人々が物事の価値を判断する能力が不可欠です。売る方も、買う方も何が本当に価値があるのか、どちらがより価値があるのかが判断できなくてはなりません。

  そのために、真理価値に関する多くの議論とその判例が示される必要があるでしょう。私もそのためにがんばりたいと思います。社会に真理価値を根付かす事自体が直接に社会を良くすることに繋がっていきます。現代の日本に生きる人々は、これを担当する任務を与えられたのだと思います。これから先、どのように展開していくのか正直言って私にも分かりません。

 しかし、多くの人々が直接あるいは間接にこの真理価値を社会に浸透させるための活動を継続していくことによってやがて日本には浸透していくであろうと思われます。

  このページを読んで頂いた方は、どうか物事の真実の価値、真理価値の存在を決して忘れないで下さい。そして、できれば何事においても真理価値の多い方を選択するように努めていただきたいと思います。国人一人一人の真理価値の多い方への選択が日本を救う事になっていくのです。

      (1999.11.7   大和武史)

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