単年度決算の解消について


  行政のやり方にもおかしなものはいっぱいあります。その大きな一つが予算の単年度決算制度でしょう。今、国家予算や県の予算、市町村の予算制度はほとんどが単年度予算制度です。

 つまり、その年度のお金はその年度のうちに使い切るという予算制度です。

  その年度の収入と支出を合わせることによって決算する、つまり収入を全部使い切ることによって決算されるわけです。しかし、この制度は大きな矛盾を含んでいます。つまり、企業や家庭において収入を全部使い切ってしまうところがあるでしょうか。万一の時や急にお金が必要になったときどうするのでしょう。誰でも貯金ということをやるはずです。

  そして、その企業や家庭が栄えているかどうかは、この貯金の額で大体分かるようになっています。なのに、国家の場合や役所の場合になると使い切ってしまうのはなぜでしょうか。それは、その収入が税金であり、それは国家の政策の財源であるからですね。つまり、その年の政策のために一定の税金を取られているわけであって、これを余らせると返還の要求や現在の要求がすぐにでも出てくるからだと思います。ですから、基本的のその年の必要額を税金として徴収しているというスタンスを崩したくないのでしょう。

  しかし、この単年度決算であるために各種の害悪が現れています。たとえば、年度末に工事が集中してきます。また、不要な工事もいっぱいあります。足らない場合は国債でまかなうことになりますが、基本的に余ることはないので国債は一向に減りません。使い切るという命題のために大変無駄な使われ方がされています。

  何も使い切る必要はないはずです。必要なだけ使って余りは貯蓄に回せばよいと私は思います。国債の償還資金にしても良いです。とにかく、収入よりも支出を少なくしなければ駄目です。

 そして、それは国民の返すのではなく、国家を強くするために貯えるのです。将来や有事に備えるのです。これが堂々とできるようにすればよいと思います。

  そうすれば、お金はもっと有効に使われるようになりますし、行政も使い切る必要が無くなるので執行が楽になります。信じられないでしょうが、公務員はこの予算を使い切るために四苦八苦しているのです。決められた額を1年以内に完全に使い切るということはなかなか大変なことなのです。余っても足らなくても駄目なのです。そして、予算要求した内容以外にはもちろん使えません。本当に大変なのです。

  ですから、この単年度の予算制度を止めて企業のように、賃借対照表を作成する方式の決算に返ればよいと思います。これだけで何割という予算が節約できます。そして、前にも言ったように利益を上げるべきであると思います。決算の時に作る賃借対照表は赤字ではなく、黒字にしなければ意味がありません。何処の省庁が一番黒字が大きいかそれを競い合えばよいと思います。国家収入が増えるわけですから結構なことです。

  大きな黒字を達成したら、遠慮なく自分たちの給料やボーナスを上げればよいと思います。

 このように行政制度の中で大変無駄な部分を生み出しているのがこの予算の単年度決算だと私は思います。


                (1999.11.12   大和武史)
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